知る日々の日記

日記の再録です

読書感想短文 小林と正宗

2021.1月頃

小林秀雄対話集に収録されている、正宗白鳥との「大作家論」を読む。なんだか笑える。小林秀雄の話すのには「くすぐるように褒める」ところがある。それはどんなことを指して言うのか、引用してみる。

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正宗白鳥(以下、正) 小林君は画を…僕はよく見るけど。

小林秀雄(以下、小) 画はお好きなんですか。

(正) 美術記者を7年もやったからね。ある点では画だって好きだな。

(小)だけど、お買いにはならんでしょう。

(正) 買ったりなんかしやしない。

(小) 好きなら書いますよ。

(正) 買う金もないし…。

(小) 金なんか都合しますよ。やっぱりお好きじゃないのさ。正宗さんは観念派だ。だからこうしてお話ししても気が楽なんですよ。

〜中略〜

(小) もう酔っ払ってきたからだめですよーーー正宗さんの奥さんはいい奥さんだなぁ。

(正) なに言ってるか。つまらない(笑声)

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初めてすらっと読んで、声に出して笑った。

何か気の抜けた、威嚇するところのない感じが笑わせてくる。ふと笑ってしまう。