知る日々の日記

日記の再録です

2024.4.7

実家に置いていた荷物を千葉へ運ぶ。ダンボール6箱分の本と、衣類を詰めた大袋が2つ。半年前からせっせと本棚の写真を集めてはイメージを膨らませ、どのサイズでどんな色味で、と空想だけは進んでいたが、木材を揃えるより先に本が来てしまった。

 

私の家にはちょうどよい高さの平面が不足している。「床」という足を接地するための平面はあるが、台所には食材を置いたり調理したりするための平面が足りないし、食器を置くための棚もない。テーブルと対になった椅子のセットと、安楽椅子が一つ。どうにもならない。

 

食材を買ってきて冷蔵庫にしまっていたら、プラスチックの棚に小さな緑のカビが付いているのを見つけた。タオルを洗って拭き取る。しかし、そこだけ取ってもあまり意味がない気がして、途中までしまった食材を全部取り出して、冷蔵庫の内側を全て拭く。

 

カビた棚と格闘して元気がだいぶ持っていかれたが、お酒を飲みつつ花見をする、というイベントがあるので出掛ける。雨上がりの外を歩くと、街中で湿った匂いがする。漁港のそばにあるこの街で、これからもカビと格闘しなければならない未来を暗示するような、肌にまとわりつく湿度と、生暖かい風。乗り込んだ電車は広告用のプラスチック板の向こうに電車の肌が透けて、蛍光灯を光を返している。JR、クレジットカード、四谷学院の広告が、かろうじて車内の平面のいくらかを埋めている。

向かいに座っている中国人らしき親子。その子供がいきなり立ち上がった。こちらを見る。目が合う。ぼーっとした顔をしている。おそらく私も。

子供が座る。私は目を手元に落として、ぼーっとする。